NOTES
ON THE
ACTS OF THE APOSTLES

By Barcley F. Buxton, M.A.
Transcribed by Yutaka Yoneda

ビー・エフ・バックストン講述
米　　　田　　　　　豐 筆記

使　徒　行　傳　講　義　　全

東京 基督敎書類會社

緖　　言

一　本書は曩さきに多年我國わがくにに定住して、心靈界に大おほいに貢献せられたるバックストン師が、一昨々年秋再び來朝せられてより昨年春に至る迄までの間あひだ、多忙なる巡廻傳道の餘暇々々に、神戸の聖書學校に於て講義せられし、講義の筆記であります。

一　一二章の講義は、一昨年の春「昔のペンテコステと今のペンテコステ」といふ題にて出版せられたのですが、文章を處々ところどころ少々訂正して置きました。

一　此この講義筆記は全體、毎回同師の校閲を經たので、其際そのさい少々添削し、又綱目こうもくを區分せられたのです。

一　文體は成なるべく同師の口吻こうふんを保ちたい爲ためと、同師が成なるべく平易なる文體を好まるゝ爲ため、迂遠のやうではありますが、今迄いまゝで發行せられし同師の凡すべての講演筆記の如く、是これも亦また口語體に致しました。同師の口より御聽きなさるやうな心で、御讀みなさるやうに望みます。

一　各節せつ或あるひは各項目の講義の始はじめに、唯たゞ何節とだけ記して置いたのは、講義の際は同師が其その節を讀まれたのですが、冗長に流るゝを防ぐ爲ため、唯たゞ節せつだけを記して文言もんごんを略しました。讀者諸兄姉けいしは必ず聖書を開いて、其その節せつをお讀みなされた後のち、其その講義を御覽になるやうに願ひます。然さうでないと、思想の連絡を欠きます。又講義中の引照も、聖句を略したのがありますから、必ず聖書を開いて御覽になるやうに願ひます。

一　同師の講義が、世間在來の註釋類とは其その趣おもむきを全く異にし、心靈的にして獨特の能力ちからと趣味あぢはひのある事は、英國に於ても我國わがくにに於ても、多くの人の知る所であります。此この講義も深き祈禱いのりの中うちに準備せられたものでありますから、若もし讀者諸兄姉けいしが、祈禱いのりの中うちに聖靈の光を求めつゝ御讀みになりますれば、必ず信仰上大おほいなる利益を得らるゝに相違ありません。

一　尚なほ序ついでに、同師の著書にて日本語にて出版せられたものに、前記「昔のペンテコステと今のペンテコステ」の外ほか「約翰伝ヨハネでん講義」、「利未レビ記講義」、「赤山講話あかやまかうわ」、「心靈的講演集」、「リバイバルの要件」、「路得ルツ記靈的講解」、「雅歌靈的講解」、「聖靈のバプテスマ」、「富める所」等などがあります。

　　大正五年四月　　　　　　　　　　　　　　　神戸にて
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　筆　記　者　誌

目　　次

第　一　章

第一　此この書ふみの内容
キリストの働はたらきの續き──傳道の手帳ハンドブック──三みつの大切なる事──神の戰爭
第二　甦よみがへりたる救主すくひぬしと其その約束
甦よみがへりし主しゅの職務つとめ──最も大おほいなる約束──火のバプテスマ──最も高き欲望──聖霊臨み給ふ──最も貴き聖靈の經驗──爆裂彈ダイナマイトの能力ちから──證人あかしびと──證あかしの順序──復活よみがへりの證人あかしびと
第三　キリスト昇天し給ふ
詩篇に於けるキリストの昇天──キリストの王たる三みつの證あかし──再臨に關する天使の證あかし──四よつの基礎的事實──キリストは我等の祭司の長となり給へり
第四　祈禱會いのりくゎい
ヱルサレムに歸る──祈禱いのりは最も肝要也なり──祈り、聖書を讀み、歌ひつゝ──使徒行傳に於ける祈禱いのり──神を待望まちのぞめる十日間──缺陷かけを補ふ

第　二　章

第五　聖靈の傾注そゝぎ
使徒行傳に於ける聖靈の傾注の四よつの記事──七なゝつの例──戴冠式の賜物
第六　ペンテコステの節いはひ
舊約に於ける三大節──麥粉のパンの譬たとへ──節筵いはひの特質──徹夜の祈禱
第七　聖靈臨きたり給ふ
一致和合より起る祝福──俄にはかに──祈禱答へられ、約束成遂なしとげらる──神の氣息いき──音おと──火──聖霊の盈滿みたし──フレッチャーの經驗
第八　萬國傳道
諸國くにぐにの人の救すくひ──バベルの塔とペンテコステ──神の大おほいなる御業みわざ
第九　町の震動
天の葡萄酒──シナイ山とペンテコステ
第十　聖書に循したがふ說明
新しき能力ちから──傾注そゝぎの結果
第十一　キリストの御榮光
ペテロの三みつの說敎の題──神の御子みこ──神の聖前みまへの全き者──他ほかの人に由よりて聖靈を受く──悟さとり開かる──人間の考かんがへと神の考かんがへ
第十二　危險より救すくひに至る
危險を自覺す──第二の集會アフター・ミーティング──限られざる約束──七なゝつの結果──一家族──三みつの新しき特質

第　三　章

第十三　跛者あしなへの癒しいやし
聖潔きよめの力──全國民の召めし──解放の結果──祈禱の時──イエスの名──ペテロとヨハネ──神の賤いやしき器うつは──肉に屬つける信者の表號かた──癒いやされし跛あしなへの五いつゝの精神──働人はたらきびとの七なゝつの精神
第十四　跛者あしなへに就ついてのペテロの說敎
機會をりを捕へる傳道者──ペテロの說敎の綱領アウトライン──證人──キリストの四よつの名──恐ろしき訴うったへ──不信仰と信仰──愛の勸すゝめ──新しき紀元

第　四　章

第十五　猶太人ユダヤびとの宗敎會議
凡すべての場合に於ける平和──議會の答──消されざる火──大人物の前に於ける賤いやしき田舎者ゐなかもの──禍わざはひ轉じて福となる──不信仰の瞽めしひ──說敎の題目と證人──頑固なるサンヒドリム
第十六　震動ふるひうごける祈禱會いのりくゎい
迫害の四よつの幸福さいはひなる結果──信者の會つどひの空氣──造主つくりぬしなる神の力──戰爭に於ける大膽──震動ふるひうごかし給ふ神の能力ちから──人の心を動かす三みつの方法──燃立もえたつ㷔ほのほの如き愛──ペンテコステの祈禱會の順席──神の道ことば

第　五　章

第十七　アナニヤの死
内部の敵──聖霊の燃立もえたつ火──敎會の中に宿り給ふ聖靈──眞似まねの献身──サタンの眞似──聖霊の審判さばきの美うるはしき結果──聖霊の審判を求めよ
第十八　祭司と使徒との戰たゝかひ
敎會の打擊──天使の働はたらき──權威者の無能力──ヱルサレムのリバイバルの秘密──ペテロ事實を認いひあらはす──最もよき事──普通の方法によれる助たすけ──苦よりの喜悅──日々に

第　六　章

第十九　敎會の組織及び發達
組織や方法に就ついて靈みたまの導みちびきを求めよ──サタンの妨害さまたげ──最も大切なる奉仕──祈禱の大切なる事──神の働はたらきを務むべき人──愛の勝利──三みつの聖靈の盈滿えいまん
第二十　ステパノの殉敎
ステパノの變貎すがたがはり──聖靈に滿みたされたる敎會の七なゝつの結果

第　七　章

ステパノの說敎──頑固かたくななる心──ペンテコステ前の死

第　八　章

第二十一　サマリヤのリバイバル 福音傳道の苗代なはしろ──巢雛すびなの敎育──惡魔の傳道者としてのサウロの種播たねまき──福音の擴張と其その力──惡魔の陣營に進擊す──天より火を下くだす使者つかひ──聖靈を求めても得ざる者
第二十二　神の計畫の擴張
悔改くいあらための三みつの例──成功ある傳道者の警戒すべき事──エチオピア人びとなる熱心な求道者──罪人つみびとの救すくひの爲ために働く四よつの者──個人傳道者の精神

第　九　章

第二十三　新しき使徒召さる
迫害者中よりの召めし──神は或あるひは迫害を許し或あるひは之これを妨げ給ふ──『忽たちまち』の働はたらき──光と聲──サウロの悟れる事──サウロの悔改くいあらため──三日間の暗黑くらやみ──個人傳道者に対する嚮導みちびきと奬勵──大膽なる證あかし──サウロ洗禮バプテスマを受けて聖徒の群むれに入いり又證あかしす──新約のサウロと舊約のサウル──個人傳道者の六むつの心得──信じ易き心──『憚らず』──迫害の中に於ける導みちびき──敎會の眞の繁昌──信仰の命令と其その結果のリバイバル──更に廣き働はたらきの爲ためにペテロを備へ給ふ──四種の人

第　十　章

第二十四　ペテロ羅馬人ロマびとに救すくひを宣傳のべつたふ
歷史の危機──三大洲の人の悔改くいあらため──コルネリヲの人物──神の導みちびきと準備──祈禱の力と新しき光──神の攝理──神の言ことばを受入うけいるゝ態度──傳道者の信者に對する態度──會衆の精神──神よりの言ことば──キリストの死と甦よみがへり──純粹の福音の要點──聖靈ペテロを押除おしのけ給ふ──一いつの經驗を言表いひあらはす三みつの用語ことば──『凡すべての者に』──水のバプテスマ

第 十 一 章

第二十五　ヱルサレムの批評
放蕩息子の兄の精神──ペテロの經驗談──繰返されたるペンテコステ
第二十六　福音の擴張
平信徒ひらしんとの傳道──バルナバの喜よろこび──バルナバ友を求む──キリステアン──神の恩惠の證據

第 十 二 章

第二十七　ヘロデ王との合戰かっせん
兩軍の實力──祈禱の三ヶ條──神の御手みてに在りての平安やすき──天使の働はたらきと導みちびき──救はれたり、然されど寂し──祈禱會の勝利──此この話の靈的意味──ヘロデの死──神の勝利

第 十 三 章

第二十八　外國傳道の始はじめ
外國傳道者の派遣──惠まれし敎會の七なゝつの特質──神は犧牲を求め給ふ──働人はたらきびとを派遣する者──島の傳道──サタンに遇ふ──審判さばきの言ことば──方伯つかさ救はる──サウロの改名──ヨハネの分離──猶太人ユダヤびとに對する神の恩惠──パウロの說敎──恩惠と審判──說敎後の個人傳道──アンテオケに於ける迫害──迫害の時受くる恩惠

第 十 四 章

第二十九　續ける大戰爭
成功と迫害──跛あしなへ癒いやさる──パウロ祭られんとす──パウロの說敎──石にて擊たる──第一傳道旅行の終をはり

第 十 五 章

第三十　大おほいなる決議
純粹なる福音に反對す──ヱルサレムの會議──ペテロの證あかし──パウロとバルナバの證あかし──神のプログラム──敎會に送れる書ふみ
第三十一　パウロの第二傳道旅行
パウロの重荷

第 十 六 章

見よテモテ──神の案外なる導みちびき──助たすけを求むる叫さけび
第三十二　歐羅巴ヨウロッパ傳道の初はじめ
婦人の小祈禱會──悔改くいあらための第一の例──悔改くいあらための第二例──吼ほゆる獅子の妨害と榮さかえある勝利の初はじめ──迫害の時の感化──獄ひとやの奥の美うるはしき祈禱會──祈禱の答なる地震──悔改くいあらための第三の例──パウロ獄ひとやより釋ゆるさる

第 十 七 章

第三十三　希臘ギリシャに於ける舊約の宣傳
テサロニケに於ける聖靈の働はたらき──其その地に於ける惡魔の働はたらき──强き信仰の基礎
第三十四　アテンスに於けるパウロ
アテンスに於ける彼かれの心痛こゝろのいたみ──アテンスに於ける彼かれの傳道──アレオ山に於ける說敎──神の命令──說敎の結果

第 十 八 章

第三十五　コリントに於ける反對と成功
勞働者としてのパウロ──コリントに於ける傳道──主しゅの奬勵──主しゅの保護──歸り途みち
第三十六　第三傳道旅行
プリスキラとアクラ、アポロを導く

第 十 九 章

十二人の信者聖靈に滿みたさる──聖靈の降臨の五いつゝの例──リバイバル起おこる──似而非にてひなる働人はたらきびと──贋者にせものの曝露されし爲ため起おこりし四よつの結果──パウロの大決心──惡魔のリバイバル

第 二 十 章

第三十七　マケドニヤよりヱルサレム迄まで
其その旅行──傳道者としてのパウロ──宣傳のべつたふべき事柄──二ふたつの愼むべき事──エペソの長老等に告別の終をはりの言ことば──愛せられたるパウロ

自第二十一章至第二十六章

第三十八　パウロ囚人として審判さばきを受く

自第二十七章至第二十八章十節

第三十九　破船と其その結果

第二十八章十一節以下

第四十　ロマに着く

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