第百三十九篇  題目 我を探り給へ (廿三)



伶長うたのかみにうたはしめたるダビデの歌

  1. ヱホバよなんぢはわれをさぐりわれをしりたまへり
  2. なんぢはわがすわるをもたつをもしり 又とほくよりわがおもひをわきまへたまふ
  3. なんぢはわが步むをもわがふすをもさぐりいだし わがもろもろのみちをことごとくしりたまへり
  4. そはわが舌に一言ひとことありとも よヱホバよなんぢことごとくしりたまふ
  5. なんぢは前よりうしろよりわれをかこみ わが上にそのみてをおき給へり
  6. かゝる知識はいとくすしくしてわれにすぐ また高くして及ぶことあたはず
  7. われいづこにゆきてなんぢの聖靈みたまをはなれんや われいづこにゆきてなんぢのみまへをのがれんや
  8. われ天にのぼるともなんぢかしこにいまし われわがとこ陰府よみにまうくるとも よなんぢ彼處かしこにいます
  9. われあけぼののつばさをかりて海のはてにすむとも
  10. かしこにてなほなんぢのみてわれをみちびき なんぢのみぎのみてわれをたもちたまはん
  11. くらきはかならずわれをおほひ われをかこめる光はとならんとわれいふとも
  12. なんぢのみまへにはくらきものをかくすことなく よるもひるのごとくに輝けり なんぢにはくらきも光もことなることなし
  13. なんぢはわがはらわたをつくり又わがはゝのたいにわれを組成くみなしたまひたり
  14. われなんぢに感謝す われはおそるべくくすしくつくられたり なんぢの事跡みわざはことごとくくすし わが靈魂たましひはいとつばらにこれをしれり
  15. われ隱れたるところにてつくられ 底所そこべにてたへにつゞりあはされしとき わが骨なんぢにかくるゝことなかりき
  16. わがむくろいまだまたからざるに なんぢのみめははやくよりこれをみ 日々ひにひにかたちづくられしわが百體ひゃくたいひとつだにあらざりし時に ことごとくなんぢのふみにしるされたり
  17. 神よなんぢのもろもろの思念みおもひはわれにたふときこといかばかりぞや そのみおもひの總計すべくゝりはいかに多きかな
  18. われこれをかぞへんとすれどもそのかずはすなよりもおほし われさむるときもなほなんぢとともにをる
  19. 神よなんぢはかならず惡者あしきものをころし給はん されば血をながすものよわれをはなれされ
  20. かれらはあしき企圖くはだてをもてなんぢにさからひてものいふ なんぢのあたはみだりに聖名みなをとなふるなり
  21. ヱホバよわれはなんぢをにくむ者をにくむにあらずや なんぢにさからひておこりたつものをいとふにあらずや
  22. われいたくかれらをにくみてわがあたとす
  23. 神よねがはくはわれをさぐりて わが心をしり われをこゝろみてわがもろもろの思念おもひをしりたまへ
  24. ねがはくはわれによこしまなるみちのありやなしやを見て われを永遠とこしへのみちに導きたまへ

 神よ我を探り給へとは僞善者の祈るあたはざるところにしてきよき忠信なる聖徒のみ祈り得るところなり。
▲本篇の分解
 (一〜六)神はすべてを知り給ふ
  が起居動作をも(二はじめ
  思念おもひをも(二をはり
  が行爲をも(三はじめ
  が休息をも(三はじめ
  が習慣をも(三をはり
  が言語をも(四)
 (七〜十二)神は常に我とともいまし給ふ
 (十三〜十六)うまれざる前より神は知り給へり
 (十七、十八)神の御計畫はたふと
 (十九〜廿二)敵の事を訴ふ
 (廿三、廿四)神に探られん事を祈り求む



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